FAQ
装置について
- Q 一般処理法と、荷電凝集ろ過処理法の違いは
- QMRS処理した水溶性液は、そのまま排水できますか
- Qエマルション切削液を荷電凝集フィルター処理 した場合の処理精度はどの程度ですか
- Q荷電凝集ろ過処理により、有効成分は除去されますか
- Qどの程度のPH液まで処理できますか
- Qバクテリアの生菌数と腐敗の関係は
- Q一般再生方法に比べ、荷電凝集ろ過処理のメリットは
- Q荷電凝集ろ過処処理でバクテリアを除去することは可能ですか
- Q荷電凝集ろ過処処理後液の腐敗は起こりますか
- Q荷電凝集ろ過処理による有効成分の除去率はどの程度ですか
- Q種類の異なった液が混合した場合、再利用は可能ですか
- Q処理後の液は何回程度繰り返し使用ができますか
- Q新液と比較して、処理液の性能(品質)はどの程度ですか
- Q水に混入した水溶性液は除去できますか
- Q対象液の温度は、何度まで可能ですか
- Q低下したPHは回復しますか
- Q濃縮廃液の中には、どのようなものが入っていますか
- Q腐敗したエマルション切削液の悪臭はなくなりますか
- Q変色したエマルション切削液の色は元に戻りますか
- Q変色の原因となる他油が乳化混入していても、使用可能ですか
- A 一般処理法と、荷電凝集ろ過処理法の違いは
薬品等を使用せずに、物理的な方法で乳化油、固形物(ゴミ)を99.9%以上カット出来ることが一般処理法との違いです。
一般処理法で中空糸膜を使用するものもありますが、これらはUF(ウルトラフィルター)膜が殆どで、約0.005μという非常に微細なメッシュを通すことにより、かなりの有効成分を除去してしまうことと、処理能力(時間あたりの処理量)が少ないことが欠点です。
MRS処理においてはMF(マイクロフィルター)膜による大口径膜で処理しますので、有効成分の除去率が非常に少ないことと、処理量が多いことが特徴です。
- AMRS処理した水溶性液は、そのまま排水できますか
水溶性加工液、洗浄液等は有効成分が水に溶解状態で添加してあります。
MRS処理は分散状態の油分、きょう雑物等を除去しますが、これら溶解した有効成分を除去することはできません。
そのためにしっかり残存している有効成分でリユースが可能となるのですが、反対に排水しょうとした場合にはこれら溶解有効成分が問題となり排水することはできません。
- Aエマルション切削液を荷電凝集フィルター処理 した場合の処理精度はどの程度ですか
中空糸膜で最終処理をする荷電凝集メンブレン処理 では99.9%以上の処理精度が期待できますが、荷電フィルターによる荷電凝集フィルター処理 では約30%~70%の広い範囲で処理精度がばらつきます。
これは、エマルション切削液に入っている界面活性剤の作用により、混入油分(不純物としての除去対象)が有効成分と同じく乳化してしまい、安定したエマルション状態になってしまうからです。
他油混入の初期段階では未だ乳化状態になりませんが、時間が経過するにしたがい、設備稼働による攪拌が繰り返されることによって乳化状態になっていきます。
荷電凝集フィルター処理 では中空糸膜を使用していませんので乳化を除去することができません。
又、乳化を除去すれば有効成分も除去されてしまうので乳化を除去しない荷電凝集フィルター処理 で行う訳です。
つまりエマルション切削液を処理する場合、長期間使用された液程混入油の乳化が進んでしまい、処理効率が悪くなります。
- A荷電凝集ろ過処理により、有効成分は除去されますか
一般的に水溶性液の有効成分は水に溶解しているものも多く、それらは荷電凝集ろ過処理により除去されることは殆どありません。
しかし混入油分、ゴミ等に付着して乳化状態にした界面活性剤等の有効成分は、分離不純物と一緒に除去されます。
その他、エマルション切削液、エマルション系洗浄液、エマルションに近いソリュブル液等の有効成分は除去されます。
しかしそれらの場合は中空糸膜を使用しない荷電凝集フィルター処理 (中空糸前段)により有効成分を除去することなく処理が可能です。
- Aどの程度のPH液まで処理できますか
対象液のPHは、約6~13程度です。
これにはMRの配管材質がSUS304材を使用していますので問題ありません。
酸系については、MRSの浄化除去対象物である金属粉が酸性液に溶解してしまい、除去することができません。
- Aバクテリアの生菌数と腐敗の関係は
バクテリアは新液状態でも10の3乗個は存在しています。
それらが使用条件によって増殖し、10の6乗個程度で飽和状態になります。
この飽和状態に近くなってくると腐敗が始まり、悪臭も発生します。
バクテリアは存在しても、飽和点以下での管理による使用においては悪臭も腐敗も発生しません。
- A一般再生方法に比べ、荷電凝集ろ過処理のメリットは
一般的な再生方法は、①静置沈殿法②濾過法③遠心分離法④薬品凝集法等があります。
主としては固形物(ゴミ)除去がメインですが、薬品凝集処理法(加圧凝集法)の場合にはエマルション混入油分の除去も可能です。
但し、再生回収量は60~70%と、荷電凝集ろ過処理の再生回収量(90~95%)に比べると低く、残りの30~40%は廃ヘドロとなってしまいます。
又、エマルション混入油分の除去も完全ではなく、薄い乳化が残った状態で仕上げられるケースもあります。
再生液にこれら乳化油が残存しますと、新液からに比べて腐敗の進行が早く、寿命は短くなってしまいます。
MRSの荷電凝集メンブレン処理 液は物理的に乳化油を99.9%以上カットしますので、それら再生液に比べると腐敗し難い液として再利用頂けます。
*処理後液に原液添加し、濃度調整を行った後の液条件です。
- A荷電凝集ろ過処処理でバクテリアを除去することは可能ですか
バクテリアの大きさが約0.2μ以上としますとMRSで使用します荷電凝集メンブレン処理 中空糸膜の口径が0.02μですから、荷電凝集メンブレン処理 であれば除去できます。
但し、設備タンクに戻すことにより、配管、タンク内のバクテリアが混入しますので、ゼロにはなりません。
- A荷電凝集ろ過処処理後液の腐敗は起こりますか
起こります。
荷電凝集ろ過処の荷電凝集メンブレン処理 液においてはバクテリアはカットされていますが、配管、設備タンク内にバクテリアは存在していますので、それらから増殖は始まります。
しかし、処理後液の濃度調整によって補給される有効成分中の抗菌剤等の成分によって増殖は抑えられます。
- A荷電凝集ろ過処理による有効成分の除去率はどの程度ですか
溶解している有効成分も、不純物が多いとそれに付着して一緒に除去されます。
除去率的には、有効成分100%に対し不純物が少ない場合に約数%程度。
多い場合には約30%近く一緒に持ち出される場合があります。
つまり、汚れの多い液程、除去率は多くなります。
- A種類の異なった液が混合した場合、再利用は可能ですか
"油と水の場合はまず分離し、それぞれを浄化することによって可能です。
同種のものの場合は混合比率ですが、基本は洗浄液同士、切削液同士、焼入液同士とか、用途の同じ液同士が若干混入する場合には現実的には問題ありません。
例えばMR車で別銘柄の液を改めて処理する場合、ドレンから全ての液を抜ききれば若干の配管付着残留分としては問題ありません。
あくまでも同種(同工程)の液であればですが。
同工程でも銘柄を分ける理由としては、その工程(設備)での加工条件の違いがあげられます。
それらからして、10~20%以上の混合は避けたほうが良いと思われます。
しかし、現実的には客先設備は殆どライン構成されており、流れ加工でワークに付着した液が次の設備にどうしても持ち込まれます。
切粉持ち出しもありますが、ワークに付着して次の設備に持ち込まれる液も補充量の中に含まれます。
その分、種類の違う液が数%以上常に混入していることになりますので、ある程度それによって問題になることはないと思われます。
(混合の度合いにもよりますが)" - A処理後の液は何回程度繰り返し使用ができますか
"前項でもご説明しましたように、一般的な水溶性加工液は水の蒸発と持ち出しにより有効成分の補充も頻繁に行われます。
それらをMRS処理しますので、再利用時も有効成分の補充を行えば水溶性液は安定した状態で繰り返し使用が可能となります。
同じ液でも同一使用状態はありませんので、何回という回数の表現はできませんが、新液→使用→原液補給→使用→原液補給→~MRS→原液補給→使用→原液補充~→MRS→~という安定パターンにより繰り返し使用ができます。
また、水溶性加工液、洗浄液等は、密閉回路使用のような条件ではありませんので、上記述べましたように蒸発、持ち出しが非常に多くみられます。
そのために、補給により液全量が極端な場合10日で入れ替わるというような条件も発生します。
大なり小なり全てにこの傾向がみられ、それによって新液当初の液は使用開始と共に存在せず、何回使えるかという表現はあてはまらなくなります。
その他MRSの原則である混入溶解物の除去が出来ないという原理から、もしそれら溶解物が混入し、それが加工に影響を与えるような条件であれば、(混入量と影響度によりますが)繰り返し使用はできません。
" - A新液と比較して、処理液の性能(品質)はどの程度ですか
水溶性液は水に有効成分を混ぜ合わせ、添加することによりそれぞれの用途の専用液として使用されています。
しかしそれら有効成分は使用することにより消耗したり、部品に付着して系外へ持ち出されるなど減少する傾向にあります。
そのために、通常使用においては定期的な濃度測定を行い、不足分を原液補充することにより管理使用されています。
MRSはきょう雑物、混入油分等を殆ど完全に除去しますので、その部分でいえば新液と同等、又はそれ以上といえます。
しかし、消耗、減少した有効成分は処理後に濃度測定により充分に補給する必要があります。
それによってきょう雑物、混入油分が少なく、有効成分が規定量確保されていれば、新液とは異なりますが、使用にさしつかえない液といえます。
- A水に混入した水溶性液は除去できますか
鉱物油は100%近く除去可能です。
しかし、動植物油の場合は鉱物油程除去できない場合があります。
- A対象液の温度は、何度まで可能ですか
約70℃までは可能です。
- A低下したPHは回復しますか
水溶性油剤のPHは1~14までありますが(PH7は中性、7以上はアルカリ性、7以下が酸性)加工液はPH8~10前後で使用されています。
低下したPHは処理原理上、MRSで回復はできませんが、処理液に対して濃度調整を行う、又はPH向上剤の添加によって条件は大きく改善されます。
PH低下の条件で使用しますと、錆の発生、バクテリアの増殖等によりさらにPHが下がるという悪循環になります。
- A濃縮廃液の中には、どのようなものが入っていますか
中空糸膜を透過しなかったもので、主としては不純物です。
内容的には下記のものが含まれます。
- A腐敗したエマルション切削液の悪臭はなくなりますか
悪臭はバクテリアの増殖によって起こりますが、一般的にはそれらバクテリアの排泄物、死骸等が悪臭の原因ともいわれています。
MRSの場合、エマルション切削液は荷電凝集フィルター処理 で行い中空糸膜は使用しませんので、0.3μ程度といわれるバクテリアの直接除去はできませんが、それら死骸等をきょう雑物として凝集除去することにより悪臭の改善効果はあります。
しかし、液中に溶解したような悪臭発生源については除去できませんので、その場合は完全に臭気を無くすことは難しい場合があります。
エマルション切削液は元々鉱物油を有効成分として混合させてありますので、それらを栄養源とするバクテリアは増殖しやすい環境にあるといえます。
- A変色したエマルション切削液の色は元に戻りますか
前項で説明しましたようにエマルション切削液が変色しますのは、他油が混入したことによってその混入油分が時間をかけた攪拌状態の中で乳化し、その他油の色が色相となって現れます。
これを除去することは出来ませんので、荷電凝集ろ過処処理により大きく色相が戻ることはありません。
しかし、混入油が未だ分散状態に近いものであれば、除去により色相が回復する場合もあります。
- A変色の原因となる他油が乳化混入していても、使用可能ですか
基本的には可能です。
水溶性液の基本要素は①冷却②防錆③洗浄④潤滑ですので、その条件を満たす液であればよいのですが、他油混入による乳化が多くなれば、バクテリアによる腐敗が進行し易くなる事と、石ケンの生成による半固形異物により、クーラントポンプのかじり、ノズル詰まり等の問題が発生し易くなります。
しかし、これらは早目のMRS処理を行うことにより改善され、安定します。